『愁思符庵・十六夜日記』
中秋の名月(25日)が、満月でないことに気付く人は少なかったのではなかろうか。
今宵(26日)は十六夜(いざよい)。
でるのをためらうような月の風情だそうだ。
明日からは「立ち待ち」「居待ち」「臥し待ち」「更け待ち」と風雅な名が付けられている。
十五夜の前夜は「待つ宵」。
美しい日本、を唱えた安倍ちゃんにも、月を愛でる日本人の繊細さと、礼節さを取り戻す施策を訴えて貰いたかったが、美しさの本質がずれていたと云うことか。
その「待つ宵」の24日、博打屋は前日からの目眩に忍び寄る体調不安を抱え、多摩川競艇優勝戦に出向いた。
先週の商いはすでに日曜(23日)付けで書いた。
土曜の19万3連複に続き、日曜9R勝浦特別の3連複99990円を取り、懸念された前日の浮きを無事温存、墓参博打の本懐をとげた。
エフテーストライク(4人気)ビサノデュエル(11人気)ノーザンスター(10人気)の入線。
他にアドマイヤフッキー(7人気)タムロスターディ(3人気)を加えた5頭のボックス。
我ながらよくぞ押さえた、と思うのがノーザンスター。
パドックで目に止まったのは、馬以上に大庭騎手。
前日、ながつきSのテイエムファンキー(11人気)1着でガイアーレーサー・オメガエンドレス・ウインカーディナルの高配当馬券をフイにされた痛い記憶が甦る。
ヘルメットの下から茶髪の長いのが覗くような騎手の馬なぞ、間違っても買わぬ博打屋だが、勝ち味を知った騎手はリズムが良い。
コース取りやら追い出しのタイミングがハマり始める。
「やりゃ出来るんじゃない」
そう言いたくなる事も若手には多々ある。
ここらが現場派の博打屋のヒラメキと云うものだろう。荒れる予感はムンムン。
そこを馬券にどう生かすか?
ここからが博打屋の出番なのだ。
言い訳がましいが、パドック直後にこの5頭ボックスを配信すれば良かったが、つい躊躇した。
テメーの懐傷めるのは自業自得だが、人様に付き合わさせるほど確かな馬券じゃない。
あくまで捨て銭。
この気楽さが、結果オーライとなるだけが、博打というものなのだ。
それ以上のものでもなければ、それ以下でもない。
ただ、確実に云えることは、事前の予想行為で、こうした馬券は予想できないであろう。
自分で腹を痛めてこそ、手が出せる馬券なのだ。
「なんで3連単にしないのさ、昨日も取ってお金あるでしょうに」
ローレルのスタッフ小久保君に冷やかされた。
3連単52万4490円は痺れるが60通りにもなる。
確かに無い金じゃなかったが・・・。
連日のヒットにセゾンの井出君は自社馬、ハナイチリン(1着)、コーナーストーン(2着)以上に目バッチリ。
博打屋の当たりにそう驚かれても具合が悪いが、それだけめずらしいと云うことか。
博打屋の本領発揮は、多摩川を御覧あれ。
と、云えれば男の子だった。
予想通り魚谷が1号艇ゲット。初日予想したなかでただ一人優出だ。
買わねばなるまい、金はある。
が、この日盛況の多摩川、魚谷の売れ方が凄い。
こうなると博打屋の損得勘定が働く。
つまり、博打に見合う配当か、と。
地元村田修次の進入には、2日目に泣かされたばかり。
展示と本番が違うのは合法だが、予想は大狂いとなる。
逃げ馬が逃げないのと同じ。
そこを読むのも博打であろうが、ファン泣かせだ。
案の定4角(コース)を取り、博打屋の想定を壊してくれた。
「知り尽くした水面。他人の胴上げをここで見たくない」
地元ならではの戦前のコメントを読めば、村田の優勝も分からぬでもない。
ヤクザな感とでも云おうか、魚谷の売れ過ぎに、勝負を削がれ、わが懐に訪問中の福沢諭吉は姿を消すまでもなく、居残ってくれた。
増えもせぬ「待つ宵」博打であったが、帰途立ち寄った多摩川の河原には「宵待ち草」が咲いていた。
「月の雫をすって咲く・・・」
日本には美しい風景と美しい言葉がある。
生きるため、と理由を付けては心を鈍くしているのは、現代人の身勝手ではあるまいか。
博打帰りの多摩川土手で「月見草」と語り合う博打屋は、幸せ者なのかもしれぬ。
多摩川の調布花火は29日(土)だ。前回1日間違えて紹介した。
秋の夜の花火ば殊の外鮮やかだ。府中場外を楽しんだ人は是非御覧を。
