梶山徹夫の馬券生活 - 愁思符庵日記 -

本物の博打屋が送る競馬ファン必読の競馬ブログ

2007年10月27日

『秋雨競馬』

「姉ちゃん、そりゃないぜ」

朝の電車。隣に座る姉ちゃんが、鏡を手に念入りに化粧を始めた。

眉を切ったり、まつげを曲げたり、鉛筆で塗ったりと、そりゃ忙しい。

挙げ句にパタパタと頬に粉を塗る。

そのパタパタのおしろい粉が、めずらしく黒のジャケットで出陣の博打屋に降りかかる。

なんてこったね、この国は。

女が化けるのは、人目を避けてするもんじゃなかったのかい。

あれやこれや、バックの中から七つ道具がでてくる。

鏡に向かって、口を尖らせたりの七面相。

しかし、哀れなことにいじればいじるほど、顔がくずれる。

「姉ちゃん、諦めなよ」

この一言を飲み込んで、競馬場までがまんした。

雨のパドックだ。

オッズ板の裏の庭園は、一気に色付きはじめた。

雨は七難を隠す、と云うのが博打屋の持論。

パドック派泣かせである。

馬体は雨で濡れ比較しずらい。

何より傘をさしてのメモはとりずらく、新聞もびしょ濡れ。

化粧が七難を隠すのは当たり前だが、隠れぬ難もある。

雨に隠される難を見抜くのもパドック派だが、切ない作業だ。

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2007年10月27日 10:14に投稿された記事です。

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梶山徹夫プロフィール

梶山徹夫

1949年広島生まれ、中央大学文学部国文科卒。コピーライターを皮切りに、広告制作、音楽事務所経営、ルポライター、競馬雑誌編集長を経てフリーに。全国の競馬場に出向き、競馬に関わるエッセーを雑誌等に寄稿。著書に「馬券で喰ってどこが悪い」等。

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