『鎮魂競馬』
競馬に事故は付き物である。
だからと云って、事故に鈍感になられても困る。
中には避けられる事故もあるかもしれない。
いや、避けるべく日頃の研讃が求められる。
秋陽に向かって軽やかにジャンプをしたベストグランチャの前にサムライジョーイが斜に切り込んできた。
グランチャの着地すべき位置はわずかに奪われ転倒。上腕粉砕骨折で命が奪われた。
3日、快晴の秋空の下で事故は起きた。
よくあること。
しかし、この瞬間に多くの人の夢が奪われたのも事実だ。
馬主、調教師、厩舎スタッフ、知人、ファン。
82歳の元オーナー夫妻と、ウイナーズサークル前スタンドで観戦した博打屋には、出来事が俄かには掴めなかった。
が、目の前を走る馬群に、子息の勝負服がいない。
中山大障害をパスし、力を付けて来年に期す。
前走、初重賞勝ちしたあとに関係者が描いた青写真だった。
そのためにも、このレースは修練の一戦だった。
奈落の底に突き落とされる、そんな思いの結末だった。
せめて馬が無事であれば、の思いもむなしかった。
よくあること。
その通りだ。
が、障害騎手の技術のレベルはどうなのだろうか?
騎手不足もあろうし、障害馬調教技術のレベルもあろう。
事故は人馬の生命につながる。
障害のレベル向上は急務である。
平場下がりの吹き溜まりではないはずである。
粗製濫造の障害馬が増え、事故が多発すると馬券的にも興味をそぎ、ファン離れを引き起こす。
障害の難易度を含め、対策を求めたい。
車椅子を押して、瀟洒な正門まで送る博打屋の後を、トボトボと力なく歩く夫人の姿が胸に痛かった。
40年にも及ぶ馬主人生の終わりは、余りにも不条理ではないか。
今日4日は鎮魂競馬。
4R障害ミウラマリリン。200勝目前で足ふみの長い横山義騎手に、鎮魂願おう。
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