梶山徹夫の馬券生活 - 愁思符庵日記 -

本物の博打屋が送る競馬ファン必読の競馬ブログ

2007年12月16日

『ああ上野駅』

師走の土曜夕方である。

馬主氏主催の忘年会に誘われ、人でごった返す上野駅で時間調整。

いつの間に上野駅はこんなに明るく綺麗になったのだろう。

「ああ上野駅」の時代の名残を残す風景が、博打屋の上野駅である。

こんな小洒落た若者で溢れるなんて、他国のようだ。

集団就職の時代とまではいわないが、もっとこの駅には暗く危うげな空気が漂っていたはずだ。

何の匂いもなくなった駅を、訝しがるのは、時代遅れのオヤジにしかすぎなくなったと云うことなのか。

コーヒーショップで隣の席の姉ちゃんが海外旅行帰りの話に興奮気味だ。

そう云えば近くに京成駅もある。

成田直結だから、この駅は東京以北の人の海外への玄関口でもあるわけだ。

競馬帰りの博打屋が迷い込むには、居心地が悪い。

それにしても、どこまで続くこのくすぶり。

とことん自嘲するしかない。

回りの人々の楽しげな会話が、博打屋の孤独を深めるばかり。


土曜8R.自信のフリーモアを軸にチョウカイシャトルを相手本線に決めたまでは良かった。

知人にも10番フリーモアを奨め馬券を10-12固定の3蓮複総流しと10番馬単、馬蓮をがんじがらめで買った。

しかし追込みに回った10番フリーモアは届かず3着。

辛うじて3蓮複だけが当たった。

払い戻しに行くと、このレースはまだ確定してないと機械がはじく。

よく見るとレースが10Rとなっている。

しかも、外れた馬単、馬蓮馬券は8Rとなっているのに、的中の馬券が10R。

あまりに10番フリーモアが頭に残り、レース番号までを10と塗ってしまった。

なに!10Rの10-12?

まだ生きているその馬券を見ながら10Rひいらぎ賞をみると10は人気薄のメスナー。

12は人気のタケショウオージ。

博打屋はハタと悩んだ。

このまま10Rまで待つか、売場に行って払い戻してもらうか。

メスナー ねえ?

結局払い戻して迎えた10Rパドック。

経緯を話したフジTVの福原アナが、持ってたほうが良かったんじゃないですか、と不吉な一言。

因みにパドックでの二人の意見が久々一致。レオマイスター、タマモスクワートが本線となった。

さて、博打屋のくすぶりが極め付きなのはこのあとのレース。

事実は小説より奇なりを地でいく結果だ。

あれよあれよとレースはメスナーの逃げ残り。

10-12の3蓮複、1万ちょいの結果となった。

次のパドックで福原アナの笑いと同情をかったことは言うまでもない。

あのまま持っていれば、はあとの祭り。

落ち目にはとことんつめたいのが、博打の神である。

ひとたび歯車が狂うと、やること為すこと裏目にでる。

その皮肉たるや、もはや自嘲しかあるまい。

かくなる上は、世間様に反面教師としてお役にたつしかあるまい。

落ち目を使え、は博打の鉄則。

カジノを見てると分かるように、くすぶりの反対を張っていけばそこそこの成果はある。

博打屋をその役に甘んじさせるとは、屈辱そのものであるが、落ち目の加速が止まりまで、じっと忍耐の一字。

久々の上野での夜更かしではあったが、食べた河豚は福とも云う。

博打屋のくすぶりも、この夜で終わらせたい。

「上野はおいらの心の駅さ、くじけちゃいけない人生は・・・」

どこからかこんな歌が聞こえてくる。

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2007年12月16日 01:20に投稿された記事です。

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梶山徹夫プロフィール

梶山徹夫

1949年広島生まれ、中央大学文学部国文科卒。コピーライターを皮切りに、広告制作、音楽事務所経営、ルポライター、競馬雑誌編集長を経てフリーに。全国の競馬場に出向き、競馬に関わるエッセーを雑誌等に寄稿。著書に「馬券で喰ってどこが悪い」等。

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