『神楽坂有情』
万引き禍から体調を崩し、血圧高、睡眠不足でついに下痢まで起こす始末。
19日夕、神楽坂で卓を囲んだは良いが、始まってすぐ変調。
思い当たる節のない腹痛に見舞われ、スタート直後から何度もトイレ駆け込み。
競馬で云うなら5馬身ほどの先行でトップを走っていた。
ゆっくり入っておいで、とメンバーは至って優しい。
有馬記念の好い話でも聞かせてくれるなら何時までも待つよ。治まらなきゃ替わり呼ぶから、と食事タイム。
行ったり来たりで落ち着かぬ半チャンは終わってみれば最下位。
こりゃ、先が思いやられるな、と次の半チャン。
限りなく不吉な予感だったが、どうやら治まった下痢。
祈るような思いで集中。
3位から大逆転のトップへ。
ビハインドからのスタートに負け戦の覚悟もしたが、振り出しに戻り気が楽になった。
この辺りから手も軽くなり快進撃。
4連勝を果たし、終わってみれば一人勝ち。
いくらかって?
賭け麻雀を吹聴するわけにはいかないので、常識の範囲として聞き流して欲しい。
とにかく有馬を前に1円たりとて目の前の善良な知人たちに与える訳にはいかない。
どう逆立ちしたって、博打屋より皆リッチ。
「あのまま下痢と闘っててくれりゃいいものを」
と3人が苦笑。
「でも、これで梶さん有馬できるね」
だと。
いったい、幾ら中山でかかると思ってんだろう、この人たちはと思いながら
「いえいえ、恵まれない博打屋に愛の手をありがとう」
と丁重に礼を云う。
確かにこのところの災厄を考えると、この体調で持ち出しにならなかったことが奇跡的。
「腹痛変じて福痛快?」
と博打屋の心痛を癒してくれた。
その後のセブンイレブンの不誠実には、語るも落ちるが、こうした知人たちの思いやりが何よりの薬だ。
「ところで有馬、なによ?」
当日は浜離宮でトークショー、レースが見られない犬猫写真家の売れっ子、新見敬子さんが云う。
「まだ結論でないよ、でもね、ダイワスカーレットは歴史的名牝だよ」
の博打屋の見解に同意。
神楽坂の夜は師走を迎え人の出も多い。
毘沙門天、今宵すれ違う人、みな酒臭し。
しかし、災難続きの博打屋に、神楽坂のこの夜は少しばかり情のある景色に見えた。
