梶山徹夫の馬券生活 - 愁思符庵日記 -

本物の博打屋が送る競馬ファン必読の競馬ブログ

2008年02月10日

『雪中感涙』

「多分ね、降るには降るだろうが中止にはならんよ。馬券は当たらんが、天気予想だけは確かじゃ」

昨土曜、知人たちが京都中止の報を受けて日曜開催を危ぶんでいたところに出した博打屋の結論であった。

怪しくはあったが、最終レース前まではさほどの気配はなかった。

旧知の馬主氏に誘われて府中で食事。

案内役としては店選びにひと悩みしたが、鍋が食べたいと云う要望に応え富山の魚を食べさせる店で旬の日本海海の幸を堪能した。


店を出ると本降りの雪。

積もり始めると早いのが雪と借金。


「こいつぁ、天気予報まで外しちまったわい」
と、日曜開催の中止を覚悟した。

「梶さん、1万5千円のいい働き口があるよ」

別れ際知人が云う。

除雪要員を募集していると云う。

一瞬、日曜の開店休業の事を考えると悪くもなかったが、京都、小倉がある以上博打屋としては全休日とするわけにはいかない。

とは言え、馬券商いは手控える。

京都9Rにセゾンの2頭が出走だ。
何れもメジロブライト産駒。

ドリームアビーム゛、ドリームキューブ。
以前にも書いたが、アビームは京都の平岡君の出資馬。
メジロブライト産駒を求めた時この2頭が候補にありアビームを選んだ。

デビューはキューブが早く9月新馬戦6着から4戦目で勝利。11月のことだった。

一方アビームは一頓挫ありデビューがジャパンCの日の京都。
10番人気の低定評を嘲笑うかのような勝利。

平岡君は応援にも行かなかった。

前走小倉で奇妙なレースをしてしまった。
スタートで煽り、道中逸走。
立て直して5着。

このレースを記憶している人なら、今日のそこそこ人気も納得だろう。

さて、将来的にどちらが出世するか。

平岡君もさることながら、岡目八目、博打屋も興味深い。

馬主氏がよく云う心理が分かるような気がする。

競りで落とせなかったり、注目した馬のその後が気になってしまう心理。

走らなければ心のどこかてホッとし、活躍すれば逃がした魚のでかさに悔しがる。

まあ、競争事だから、他人の不幸は蜜の味の類いだ。
往々に、難を避けたと安心するケースが多い。

尤も、馬主氏は口にはしない。

口にはするのは逃がした魚が出世した時。

自分の相馬眼をチョイと知らせたくなる心境なのだ。
さほどに馬選びなんて難しく、確たる根拠もないものなのだ。

馬券にも似ている。

買いそびれた馬券や見送ったレースが外れると心じゃホッとしているようなもの。

他人事で気楽な「梅花賞」だが、府中がないだけに真剣にレースを見てみたい。
勿論アビーム軸だが、三度セゾン丼も十分あり得る。


土曜新馬戦は悲願のグランシュウ゛ァリエが圧倒的人気ケイアイプラウド、ディアディライトを下し勝利。
10年以上口取りと縁がない馬主と先に書いたが、それどころか平成の御世になって初めての口取りと再確認して、感動を隠しきれなかった。

少頭数の個人馬主が生息しずらくなる一方の昨今、これ程長きに渡って馬主を続けるその競馬愛の根底に在るものを、今一度見直さないと日本の競馬に明日はなくなるであろう。


若い厩務員もこれが初勝利。
スタート悪かった調教師も遅い口開け。

ボロボロに涙する厩務員の涙に貰い泣きする感動の口取り。

博打屋も列席、晴々しい写真に収まった。

「偉大なる騎士」グランシュウ゛ァリエ。


「雪中感涙」は競馬の醍醐味だったが、京都にも飛び火すればよいが。

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2008年02月10日 11:14に投稿された記事です。

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梶山徹夫プロフィール

梶山徹夫

1949年広島生まれ、中央大学文学部国文科卒。コピーライターを皮切りに、広告制作、音楽事務所経営、ルポライター、競馬雑誌編集長を経てフリーに。全国の競馬場に出向き、競馬に関わるエッセーを雑誌等に寄稿。著書に「馬券で喰ってどこが悪い」等。

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