『氷雨蟄居』
冷たい氷雨に包まれた「愁思符庵」で、アンニュイな週明けを迎えた。
火曜が全休日となり、先週に引き続き追いきりが木曜になる馬屋社会も大変だ。
そんなことを思い今日の商いを浦和競馬に決めて奮い立ったは良いが、ふと手持ちの金の乏しさに気が付いた。
土曜健闘、月曜不調の悪パターン続きがジワリとこたえる。
「なんだこれが一番人気の馬か?新聞屋もいい加減な印を付けるよな~」
共同通信杯のパドックに立つと常連のファンが聞こえよがしに評定を始めた。
単勝1、5倍のサダムイダテンへの批評である。
関東初見参のこの馬への関心はクラシック直結のレースだけに高い。
正直博打屋もこれで走るの?と不安を抱いた。
「第一よ~、元気ないじゃんよ~。これからレース走るって馬じゃないよ」
さすが常連オヤジ達、鋭い。
とは云え、あのディープインパクトを見た時だって、これは!なんて思いはしなかった。
フサイチホウオーの時はこりゃ凄いと感心した。
しかし、その凄い!もご存知の通りだ。
見た目は正直なものだが、必ずや正しくはない。
馬道で中村調教師に疑問をぶつけてみた。
博打屋の気持ちを察してか「巾も薄いしパッとしないでしょ。あれで良い脚使うんだよ。決して見映えのする方じゃないけどね」
誠実に話てくれるこの調教師には何時も感心する。
「ちょっと心配になってきたな」
と付け加える辺りが関西人らしいところか。
結果は伸びきれなかった。
一瞬、片鱗を窺わさせる脚を見せたが、バタリと止まった。
帰途につく中村調教師と再び会った。
「あんなに止まる馬じゃないんだけどね。鞍上も馬に元気がないって言ってたわ」
計らずもパドックの印象がレースに出たようだ。
混沌とする3歳戦線に過大評価は禁物を改めて知らされた。
長距離輸送、居残り順延。先週の根岸Sで関西馬不利と書いたら2、3着に来て蛇足だった。
昨日こそその観点を思い起こすべきだった。
サブジェクトは良く見えたが案外だった。
エルフィンSで復活したポルトフィーノは、追い切り変更やら2日順延やらの変則をものともせずの勝利。
こちらは本物。
順延に弱いのはどうやら牡馬と博打屋だけのようだ。
恨めしげに外を眺め、蟄居雨読の博打屋である。
