梶山徹夫の馬券生活 - 愁思符庵日記 -

本物の博打屋が送る競馬ファン必読の競馬ブログ

2008年03月13日

『噂の新人』

風に冬の冷たさの芯が無くなった。

我慢出来る寒さだが、気を緩めると酷い目にあう。

桜の開花が前倒しになり、少し早まるそうだ。

春本番も近い。

昨日、選択肢から漏れた京王閣競輪。

興味は噂の93期西谷岳文だ。


京都所属の29歳、並みいる先輩に揉まれる生きの良い先行選手。

オリンピックのメダリストでもある。

競輪の醍醐味、ライン決着にこだわる美学が期待を集める。

勿論、京王閣初見参。

珍しく、スタート地点でマジマジと顔を拝見。

緑の6番車の青年だ。

080314.jpg

「西谷、お前いつまでもこんなとこにいる選手じゃないぞ!」

スタート地点での野次はじっくり選手の耳に届く。

「後ろがしっかりしてるんだから、何も考えなくていいんだぞ」

「いいか、片山を行かせから上がれよ、お前の脚は違うんだからな」

聞いていると、選手もその気になるのではないかと思えるほど、微に入り細にわたる作戦を野次る。


野次るファンは各々の筋書きを手短に叫ぶ。


聞いていると、ショートストーリーのエッセイを聞いているようで成る程な、と妙に納得させられる。

競輪の最も面白い瞬間だ。

皮肉なものでこのレース、5車が落車、4車が最終を走った。

西谷、小林、武谷のラインと別線3番手阿部。

西谷、小林の争いに、車体故障の武谷が大差で3番手追走。


安いがライン決着、と博打屋も的中を確信していた。

しかし、信じられない光景をみた。

大差の3番手の更に離れた4番手を走っていた阿部が、ゴール前、車体故障で走る武谷を抜いて3着。

3連単2千円そこそこの車券が2万5千円を超す車券となった。


勿論、博打屋は外し。

ポロリと逃げた結果に博打屋は苦笑い。

博打とはこんなもの。

4人で走ってもこの結果だ。


ただ、西谷の力走だけは明日に期待を持たせた。

空商いの一日、博打屋の春はまだ遠い。

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2008年03月13日 22:10に投稿された記事です。

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梶山徹夫プロフィール

梶山徹夫

1949年広島生まれ、中央大学文学部国文科卒。コピーライターを皮切りに、広告制作、音楽事務所経営、ルポライター、競馬雑誌編集長を経てフリーに。全国の競馬場に出向き、競馬に関わるエッセーを雑誌等に寄稿。著書に「馬券で喰ってどこが悪い」等。

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