『愁思符庵情話』
嬉しいことはそこそこあった。
グランシュバリエが2勝目を上げ、シーサンメイが未勝利を脱出し、この馬で小野騎手が500勝を達成した。
何百レース足踏みしたのか、なまじっか記録に気付いたばかりに、幾ら先物買いをしたことか。
1勝することの重みは、騎手によって様々だ。
ニキティスとキョウエイタキオンも土日で勝った。
野暮用で東京を離れられなかったばかりに、口取りの好機を逃した。
不思議なもので、肝心の馬主氏は鼻出血で自宅静養。
そんな時に馬が勝つのだから分からないものだ。
お陰で今日(27日)、札幌で行われているセリに同行予定もお流れとなってしまった。
新潟ではセゾン馬が土日で2勝。特に日曜のドリームゼロワンはこの世代最後のデビュー馬だそうで、いきなり勝ったのだから、担当の志井田君も嬉しかったであろう。
博打屋の馬券もメイショウアサガオやトールポピー、エフティマイヤなど、良しとすべき馬券も多かった。
特にオークスの長い審議には、馬を引く廐務員の不安な表情が痛いほど伝わった。(写真)
裁決については複雑である。
継続的内斜行に対するペナルティと、被害に対するペナルティを使い方分けた説明と理解しているが、少し整合性に欠ける。
馬場に差異がある以上、何処をどう走ろうが、前後左右に馬が居ないなら、継続的であろうがなかろうが、斜行はするし、して然るべきもの。
しかし、実際に馬はポツリと一頭だけで走っている訳でなく、必ず斜行には他馬との関わりが生ずる。
一瞬の斜行でも、他馬に被害を与えるものは与えるわけで、その事を無視は出来ないだろう。
継続的と言う判断もさることながら、被害の基準が如何にも曖昧。
まあ、こうした裁決は今後もあり得るだろうが、何時の時もファンはお上の裁定に従うしか術がない。
唯一、ファンが振るえる伝家の宝刀がある。
それは、競馬離れする事である。
その宝刀を抜かさぬ為にも毅然とした基準を提示しなければならないのではないか。
昨日(26日)は、川崎競輪ナイターに添田広福を見に行った。
山崎芳仁、佐藤信太郎、金沢竜二などの師匠で、来月50歳の誕生を迎えるいわき平競輪で引退を表明している。
最後の近場になるであろうから、その姿を見るのも悪くない。(写真1番選手)
残念ながら8着であったが、声援に顔を上げて応えてくれたのにはえも言えぬ親しみを感じた。
「是非、競輪場に足を運んで応援下さい!」
勝利者インタビューでどの選手も声高に訴える。
当たり前だろう。
選手は自分の為に走っているのは承知だが、もし、フェンス越しに自分を声援する声が聞こえたなら、博打屋なら気持ちがピリリと引き締まるであろう。
声の主に、どうだい!と胸を張りたいレースをしたくなるに違いない。
残念ながら、馬と違う競輪の血の通うところだ。
昨日の添田を見ていてつくずくその事を感じた。
色々あった週末から週明けであったが、実は一番博打屋を幸せにしたのが、ハイビスカスの蘇生であった。
烏山から引っ越してきた大切な3本ねじり仕立てのハイビスカスを過去2度枯らしてしまい、見事な幹は枯らしてしまっていた。
それでも、2年前枯れ木から芽が出て一度は蘇生した。
油断した昨冬、再び霜にあて枯らしてしまった。
今度こそは枯れきってしまったと諦めていたが、枯れ木から小さな芽が吹き出して成長し始めた。(写真)
涙が出るほど嬉しかった。
10年以上、博打屋と共に生きてきたハイビスカスを枯らしてしまったことの後ろめたさをずっと引きずっていたが、抱き締めたいほどのいとおしさを覚えた。
それにしても、おそるべく生命力。
何よりも博打屋の一番嬉しかった出来事である。
