梶山徹夫の馬券生活 - 愁思符庵日記 -

本物の博打屋が送る競馬ファン必読の競馬ブログ

2008年05月30日

『ダービー前々夜』

「日本ダービーは、馬券を超えた何かでもある。今年も、あのファンファーレに立ち会って、僕は過ぎた1年を脱ぎ捨てる。」


通巻108号を誇る私家版競馬新聞「ナイン」(夢の島発行)の島民19号氏の緻密で濃厚な競馬余話の最後はそう締め括られていた。

某スポーツ紙のサラリーマンであるが、競馬にはひとかたならぬ情念がある。


発行以来博打屋に送付して頂いている。


下世話な心配だが、たまに速達で来たりするその通信費だけでも頭が下がる。


博打屋と違うところは、ダービーからダービーまでが彼の競馬であり、つまり、ダービー馬を自分の目で見つけ出す事で競馬が完結するのである。

脱ぎ捨てられる競馬と、引きずり続けなければならぬ競馬と、ひと其々の競馬があることをこの新聞のレギュラー筆者達のコラムから教えられる。


ダービー週で賑わう新聞に「笠松競馬開催危機」のニュースが小さく出ていた。


地権者との契約更新の解釈の争いだが、状況は宜しくない。


競馬を開催し続けている現実がある以上、契約は自動的に継続するものと素人目にもそう思うのだが、今のところは地権者支持の判決のようだ。


消え行く地方競馬場の現実が改めて浮き彫りとされそうだ。


小雨降り肌寒い昨日(29日)の浦和競馬場は前日のさきたま杯と打って代わり閑散としたいつもの風景。


いかにも地方競馬然としたこのパドックが博打屋の気に入りなのであるが、ほんの一部にベンチが置かれ座ってパドックが見渡せる。(写真)

200805291505000.JPG

博打屋はこの位置から見ないので座りはしないが、もっと歳取ったら朝からこのベンチに座り、のんびり馬を見定めながら馬券が買えればどんなに幸せだろう、と思った。


そうした時間を与えてくれる競馬場が日本の中からどんどん消えていく。


ダービーも競馬だが、競馬が全てダービーである必要は更々ない。


脱ぎ捨てられない競馬があるから、日本ダービーも輝くのではなかろうか。


混戦ダービーと言い尽くされ、主役不在だけに其々話題性もある。


追加登録料200万円を払って出走のサクセスブロッケンなどその最たるものだろう。


ダートではあるが無敗馬である。


芝で走るとも駄目とも言い様がないのではないか。


ただ、博打屋はダービーは淘汰の戦歴の集大成だと思っている。


重賞勝ちや芝経験を持ち得ない馬を事細かに検討する余裕は無い。


未知の魅力を言うならデビュー78日目で大一番と言うアドマイヤコマンドの方が上。


ただし、青葉賞も内容的には凡レースに近い。

勝ち馬なら兎も角、2着以下に幻想を抱いてはなるまい。


言えばきりがないダービーだ。


雨が尚更混迷を誘う。オークス同様、馬場を巧くこなせる爪の具合も判断せねばなるまい。


千載一遇「JRAプレミアム」対象レースで5%も配当が高い。


幸せになれとJRAが塩を贈ってくれているようなものだ。


皐月賞で最も巧く乗ったキャプテントゥーレ不在なら、そのレース器用に走ったタケミカズチや判断を誤ったマイネルチャールズより、さらに強い競馬をしたレインボーペガサスに白羽の矢を立てるのが正道ではなかろうか。


孤独なダービー前々夜祭。


家賃を先に払うか、それを運用するか、罪深い日取りのダービーにまたひとつ悩む博打屋である。

このページについて

2008年05月30日 23:31に投稿された記事です。

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梶山徹夫プロフィール

梶山徹夫

1949年広島生まれ、中央大学文学部国文科卒。コピーライターを皮切りに、広告制作、音楽事務所経営、ルポライター、競馬雑誌編集長を経てフリーに。全国の競馬場に出向き、競馬に関わるエッセーを雑誌等に寄稿。著書に「馬券で喰ってどこが悪い」等。

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