『五月雨有情』
梅雨時に降る雨を五月雨と呼んだ先人は風流だ。
オホーツク海高気圧と小笠原高気圧の間の停滞性の前線に沿って小さな低気圧が西から東に移動する現象だなんて、それこそ「つゆしらず」であったろう。
じめっとした天候が黴を呼ぶことから「黴雨」とも呼んだからなお風流。
「五月雨も 休んで買うや 浜野谷逃亡」
多摩川の優勝戦に出向く前に洗濯を終え、つかの間の晴れに博打屋は詠む。
この好天なら、浜野谷のイン逃げは濃厚ではないか。
思えば先週土曜(7日)から様々なことがあった。
特筆すべきは土曜4R障害でモモタロウサンが初障害、8番人気であっさりと勝った事だ。
和歌山に引っ込んだ馬主氏に代わり口取り(写真撮影)をさせて頂いた。
初障害で勝つ馬は少なく、博打屋も馬券は手控えていた。
久しく勝ち星から遠ざかっていた馬主氏は電話の向こうで興奮していたが、何より驚いたのが、騎乗した高野騎手が1年4ヶ月ぶり、当然今年初めての勝利であった事だ。
「いやぁ、メッチャ嬉しいです。先生(和田師)にも馬主さんにも感謝してます。でも、飛越上手いですよ。厩務員さんにもそう励まされていたんですよ。」
若者らしく、代理にも誠実に応える。(写真)

マイネルデネブ(2着)を推奨した博打屋は初障害と言うだけで甘い見落としをしてしまって自業自得。
しかし、飛越振りからは先行き楽しみな馬だ。覚えておかれると良い。
この夕方、下町の祭りだが3年に一度の大祭だから見に来ないか、と町屋の馬主・田中氏に誘いを受け競馬帰りに町屋遠征。
成る程「原稲荷神社」の神輿は大きく、先棒2本を結ぶ棒がなく、左右に大きく揺れるのが特徴なのだそうだ。(写真)
見終わって氏の会社での社員酒盛りに招待された。
毎年祭りの日に事務所が酒場に早変わりするのだそうだ。
社員数も50名近くいると聞くが、田中氏の所有馬は、中央・地方を問わず社員の希望となっている事は、にわか酒場での話しでも分かる。
このアットホームな空気と職場環境の良さか、社員の定着を呼び、勤続何十年と言う人が多い。
この酒席が安田記念の日曜日の二日酔いを引き起こす訳だが、週明けにつらつら思い起こすなら、経営者と言うものは、自分が自分であって、自分ではない、と言う不自由さを背負って生きるものだと感じさせられる。
自分の頭のハエさえおっていれば良い博打屋とは大違い。
そのハエも払いきれない昨今だから情けないが。
博打屋も孤独だが、経営者はもっと孤独か。
秋葉原で狂人と化した25歳は、派遣と言う近年の雇用形態の中で、何一つ労働を通じて豊かさを身に付けられなかったのかも知れない。
能力主義や効率至上主義の雇用関係が殺伐とした人間性を増幅させる世相のなかで、下町町屋の会社は、面と向き合った豊かさを模索しているようだ。
真夏日となった多摩川。
浜野谷、藤丸、湯川の3単を主力に博打屋は商う。
