『秋田漫遊』
一寸先すら見えないのが旅打ちの常。予定は未定が放浪者の正しき日常。
つまりはいい加減であり、行き当たりばったりなのである。
結局、織姫は南部の高原競馬場には居なかった。
荒れ模様は読んでいたが、初っぱなのレース、狙った馬が精々2・3着止まりだろうと弱気な馬券で妥協したら、あれよあれよと逃げ切り、いきなり15万馬券を取り損ねリズムが崩れた。
おまけに予想通りセッカチセージの優勝、2着レントゲンも難しい馬券ではなかったが、3着馬を入れ損ね3連単2万3420円がポロリ。
すっかり気落ちした博打屋と大曲の馬主を嘲笑うかのように最終レースも16万馬券。
声もなく高原を後にした。
博打屋の手持ちは500円のみ。
「何処かコンビニに寄ってよ」
「何すんのさ」
「金出さなきゃ」
「ここいらのコンビニにゃディスペンサーはないよ」
「うっそ!」
都会ボケとはこのこと。街道筋にやたらと目立つコンビニに、疑いもなくイザとなったら、と安心しきっていた。
「すっかりやられちゃったな。馬買う金も作れなんだ」
「納得いかないなー。金持って帰れって荒れてくれてるのに。帰れなくなっちゃったわ」
この時点で車は青森セリではなく大曲に向かい、今日(8日)のサテライト六郷での前橋競輪「寛仁親王牌」決勝リベンジに流動的変更。
事態は一変してしまった。
旅打ちの客人の七夕の夜をもてなそうと、ホストの社長が、博打屋気に入りの角館の「大木鮨」へ案内。
そう言えば洞爺湖の福田首相も健気にホストを果たしている。
VIP待遇はこの秋田の地でも行われたのだ。
岩牡蠣、ホヤ、テリ(メバル)など申し分ない晩餐。
佐藤氏の知人の水産会社「南部水産」の社長までが釣り立ての鮎を持って歓迎に現れ、盛岡の痛手をすっかり忘れさせてくれた。
かくして角舘の武家屋敷近くでの七夕の夜は、さすらい博徒の心をしっとりと包んでくれたのだ。
さて今日(8日)の商い。
サテライト六郷で帰京資金を作らねばならない。
大曲の有坂直樹選手の実家(写真)と本人の家(写真)を案内され、
決死のサテライト入り。(写真)
決勝戦は山崎と岡部、成田できれいに決まりそうだが、腹をくくるほどのタネ銭がない。
渡部哲男から買ってみるつもりだ。
さて、この調子で果たして東京にもどれるのか。
受難の社長は週末の福島までいれば車で送ってやるよ、とそそのかすのであるが。
