梶山徹夫の馬券生活 - 愁思符庵日記 -

本物の博打屋が送る競馬ファン必読の競馬ブログ

2008年07月09日

『秋田こまちに見送られ』

7:40 に大曲を出た高速バスは六郷、横手を抜け秋田自動車道に入る。


月曜から何度も通った道である。


この辺りは「あきたこまち」の本場で、見渡す限り稲田が広がる。

「後三年の役資料館」など史実に縁の深い所でもある。

秋田道から北上JCを北に取れば盛岡・青森。南に取れば仙台・福島だ。


今日(9日)はその東北自動車道を仙台に向かうバスで帰途についた。


大井のジャパンダートダービーに間に合えば良い程度の商い日だ、急ぐ旅でもない。


バスを乗り継ぎ行けるとこまで行ってみようの魂胆。

列車の車窓も良いが、バスの車窓も捨てたものじゃない。


芭蕉の歩いた道を逆に辿っているわけで妙な気分だ。

それにしても東北の緑は深く多彩だ。


幾何学的に立ち並ぶ秋田杉のなんとも綺麗な事か。


何故この木は円錐状に伸びるのだろう。


まるでクローンのように皆同じ形をしている。


中には枝を自由に伸ばしバラバラの形になったのがあっても良さそうなものだが。

高速道から見下ろす北上平野には、この杉で囲まれた民家が稲田の中に点在し、美しい田園風景をみせている。


水沢、平泉辺りは遠野への入り口でもあり、また、花巻も近く宮沢賢治の緑豊かな風景の世界だ。

眠るのが惜しい。

昨日(8日)の寛仁親王牌は予想通り山崎・岡部で決まり、期待の渡部は3着に食い込み3連単5550円に一役買った。


「もっと腹くくっちゃえば良かったね」


終わってみれば固い固い1・2着570円の車券。


渡部3着は一捻りで間に合う車券だ。


「そうだよね~、十分勝負出来た車券だよね」


佐藤氏と博打屋は払い戻しの後に反省しきり。


色々考え迷うのが博打の魔性。


さぁ~サァサァ、ど~する?と決断を迫られるあの一瞬が博打打ちのアドレナリン分泌を高めドーパミンを吹き出させる。


二人とも「腹のくくりかた」を知らぬ甘い車券を買っていて大した浮きじゃない。


もっとも益々巨漢の佐藤氏の腹はくくるどころか手の回らない秋田杉。


反省だけなら猿でもするが、前日の盛岡に続き又々反省のサテライト六郷での二人。


このまま新幹線帰京か、夜光バスかホテル泊か。


「金曜までいりゃいいでしょうが」


博打屋の相手で仕事にならぬ社長さんは毒食らわば皿まで、の心境だったろう。


「もう商い場は無いの?」

博打屋はふと大井のナイターを思い出していた。


「横手場外やってるのかな?」


佐藤氏が電話で確認すると、渡りに船、ちゃんと発売しているではないか。


この日7R 氏の馬トーホウカムカムが出走していた。


家でTV観戦と言う氏を誘い博打屋は残業を主張した。

何度か来たことのある横手場外売り場。(写真)

200807081730000-1.JPG

問題の7R,トーホウカムカムは13頭立て11番人気。


大井で裏切られ博打屋をムカムカさせた馬だ。


さすがに氏の口からは強気の言葉はないし、むしろその逆。


もっとも氏は自分の馬が走るレースは買わない。


博打屋に傷を負わさせるのも忍びないはず。


しかし、事実は小説より面白い。


2番手追走のカムカムは勝とうかと言う走りで2着ゴール。

3連単3着に敬意を表し買っていた博打屋をぞっとさせた。


「えっ!うそっ!・・・」

ちょうどレース前にやって来た佐藤氏の知人と3人一瞬固まる。


トーホーラブ、トーホウカムカム、スノーショコラと入り馬単14150円。3連単122450円。


誰も当たってないはずだったが、確定後に佐藤氏が取り出して見せた馬券。(写真)

200807081840000-2.JPG

カムカム軸の2・3着ボックスマルチ3連単。


馬主ならではの馬券だが、買わない主義の人が買っていたことに驚きだった。


ただし、額から見ると自信の程が伺い知れる。


それにしても二人に申し訳なさそうにご祝儀を渡す馬主。


口には出さなかったが、もっと買っとけば良かった、と又々反省しきりではなかったか。


それとも、今回はメンバーがきついので、と超弱気発言の調教師を恨んだか。


何れにしてもドラマチックな博打行フィナーレ。


これで博打屋がドバッと大勝負し、旅打ちとはこんなもんよ!と言えりゃ話しは綺麗なのだが、今日のバス乗り継ぎ帰京が現実。


なんと言っても大曲~仙台3時間30分、3900円。

仙台~郡山2時間2100円。
郡山~新宿4時間4000円。(写真)

200807091448000-3.JPG

値段も安いが、乗り継ぎがスムースだったので、列車変更へ挫折しなくてすんだ。

8時10分ダートダービーには間に合うが、ユキチャン騒動に巻き込まれたくはない。


サクセスブロッケンと話題の馬の陰で他馬は肩身が狭かろう。

ナンヨーリバーもスマートファルコンも距離はこなすと思う。

前走川崎で如何にも楽な展開で圧勝したユキチャンには厳しいコースではないか。


それとも前走同様ハナに立ち、後続を幻惑するか?


つまり、前走だって誰も抜かなかった。


あれは他の馬が真っ白なユキチャンを誘導馬と勘違いして抜いちゃ駄目と思ったに違いない、と某弟子が解説した。

今回も騙される位ユキチャンは白化粧だろうが、やはり人気先行、馬券的には美味しい存在かも知れない。


地方競馬場としては、経済波及効果何億円と言う「白い恋人」登場。


勝っても負けてもユキチャンはユキチャン、騒ぎにゃなる。


僅かばかり残った手持ちじゃ、どちらかに消えてもらうしかあるまい。


それとも「愁思符庵」直帰か。

さすがに窓開けっぱなしの長期留守が気にかかる。


追記:随筆後、ユキチャン競走除外

このページについて

2008年07月09日 16:06に投稿された記事です。

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梶山徹夫プロフィール

梶山徹夫

1949年広島生まれ、中央大学文学部国文科卒。コピーライターを皮切りに、広告制作、音楽事務所経営、ルポライター、競馬雑誌編集長を経てフリーに。全国の競馬場に出向き、競馬に関わるエッセーを雑誌等に寄稿。著書に「馬券で喰ってどこが悪い」等。

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